京漆器の塗師育成に挑戦ー d&URUSHI PROJECT KYOTO 2026ー
堤淺吉漆店はこの度、D&DEPARTMENT KYOTOさんと共に、京漆器の塗師を育成する「d&URUSHI PROJECT KYOTO」に挑戦します。
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「このままでは漆の文化が消えてしまう」。
私たちの活動の原点はそんな危機感からでした。
かつては日常の食卓で当たり前に使われていた漆器は、時代の流れと共に姿を消し、50年前、国内で500トン流通していた漆は、近年では25トン前後にまで減少。そんな背景の中、職人は減り、後継者も不足。京漆器の産地である京都でも例外ではなく深刻化しています。
私たちはこれまで原材料屋の立場から、漆を次世代に繋ぐためのさまざまな挑戦をしてきました。まずは素材としての魅力を伝えること。この危機的状況を知ってもらうこと。さらに漆の新しい価値観や可能性を共有すること。2024年4月には漆精製工場に隣接し、その活動の拠点となる場所「Und.(アンド)」をオープンさせ、ツアーやワークショップなどを通じて、国内外に漆の輪を広げています。
素材屋と小売店による新たなチャレンジ
今、私たちは漆業界が抱える大きな課題に向き合っています。
それは後継者育成です。
京都には漆芸を専門的に学べる高校・大学・専門学校が充実しています。にもかかわらず、卒業後の受け入れ先がなく、業界の宝である人材は、夢を諦めざるを得ない。京漆器の産地ではありますが、お椀を塗れる若手職人は少なく、技術と文化の継承が危ぶまれています。
私たちは、Und.の3階に漆塗り専用の部屋を新設して若手を積極採用し、漆芸を続けられる環境を整え、仕事として漆塗りに従事してもらっています。そして今回、当社の若手社員に対し、京漆器の塗師指導のもと、伝統的な漆塗り技術継承を目的に、D&DEPARTMENT KYOTOさんと共に「d&URUSHI PROJECT KYOTO 2026」に挑戦します。
塗師・髙木望氏の指導のもと、木地固めからスタート
なぜ漆屋である私たちが、塗りの職人育成に着手するのか。
それは漆文化、とりわけ京漆器の技術を後世に繋ぐため。おそらく批判もあると思います。「そんな甘くない。簡単ではない」と。もちろんわかっています。でも、後継者を受け入れられる工房はほとんどありません。私たちがこのプロジェクトに挑戦するのは、この現状を知って頂くための問題提起でもあります。堤淺吉漆店は、D&DEPARTMENTさんと協働し、この挑戦を応援して頂けるサポーターを募り、継続して技術継承を目指していきます。
プロジェクト詳細はコチラから d&URUSHI PROJECT KYOTO 2026