うるしの日と植樹祭 『うえるかむまつり2023』

皆さんご存じですか? 

過ぎてしまいましたが11月13日は「うるしの日」です。

1985年に日本漆工協会が制定したもので全国の漆業者が京都嵐山の虚空蔵法輪寺に参拝し、法要が行われています。

1週間前には旗立など皆さまのお迎えの準備を行い、当日は狂言なども行われます。

 

なぜ11月13日がうるしの日なのでしょうか?

平安時代の皇族に惟喬(これたか)親王という方がおられました。惟喬親王は皇子でありながらときの権力者に王座を奪われた「悲運の皇子」。この惟喬親王が、日本の漆器製法が不完全であることを憂慮して法輪寺に籠って祈願をしたところ、虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)から製法を伝授され、広く世間に広げたそうです。その伝説を記念して報恩講を設けて供養することが習わしになりました。その成就された日が11月13日とされています。

他にも惟喬親王は漆に必要な木地を作る轆轤を考案したとして「木地師の祖」として信仰されたりもしているそうです。「うるしの日 」にまつわるお話がいろいろとあるので調べてみても楽しいです。

 

そんな「うるしの日」に近い11月の第二日曜日に、京都のNPO法人「丹波漆」では『うえるかむ祭り』が毎年開催されています。漆にまつわるイベントや講演会、そして漆の技術を残すために必要不可欠なウルシの木を次世代に繋ぐための植樹祭が行われています。

 京都府北西部に位置する夜久野町。かつて「丹波漆」の産地として栄え、明治時代には500人を超える漆掻き職人がいたと言われている。日本全国で約30か所以上とも言われていた漆の産地は、時代とともに次々と消滅し、現在ではごくわずか。そんな中、丹波漆の歴史を継承し、今なお3人の漆掻き職人が活躍されており、毎年多くの方に漆を育てる文化を広げていきたいという想いより当イベントが続けられています。


今年はいろいろと協業させてもらっている「POJ」(Piece Of Japan)のKintsugi Studioチームと一緒に植樹祭に参加してきました。「POJ」は日本の工芸を次世代に残すために海外に日本の技術と知恵が生み出す工芸品を取り入れたライフスタイルを提案し、職人を支えるビジネスを展開しています。その中で海外の方に金継ぎの技術と精神をしっかりと伝えるプログラムを作っています。材料であるウルシの木がどのように現代に繋がれてきたのか?まずは植えるところから体験してもらいました。

イベントの午前の部では、細い枝を切り揃えて十日間余り水に漬け、瀬しめ包丁といわれる特殊な包丁を使い漆を採る「瀬しめ掻き」体験が開催されていました。漆掻き職人でなければ、なかなか経験のできない技術。ウルシの木から少しづつ採取することで得られる漆。瀬〆漆は通常の漆掻きよりさらに採取できる量が少ないです。私たちは古代より自然から素材を頂くことで、自然への敬意を育んできました。自然とのバランスの中で成り立ってきた工芸。わずかな漆を実際に集める行為がこの感覚を呼び戻すのではないかと思います。

午後からはウルシの木の植樹へ!2人1組になって作業しました。立派に育つことを祈って1本1本丁寧に植えていきます。夏になると大変な下草刈りを効率良く進める上でも丁寧に植えることはとても大切です。

丹波漆の漆掻きのお二人

漆の苗木たち

team suosikkiのお二人も!!

子供たちも頑張って植えてくれました!

TEAM POJ!!

植えた後には自分達が植えた苗木に名前を付けました。今回植えた木が成長して十数年後の未来に漆が採れるようになります。

木が育つ頃また日本に来てほしい。長く続く関係を作っていきたいですね。

ウルシの木を繋ぐこと、漆の文化・技術を繋ぐこと

二つのことをたくさんの場所で進めていくために、世界中の人たちと漆の価値を一緒に共感しながら様々な形で広げて行くことがこれからの時代の漆の在り方を作っていくのではないでしょうか?

丹波漆に想いを込めて



紅葉した漆の葉が落ちはじめ冬の訪れを感じます。


この活動が、未来の漆に繋がりますように!!

ご参加の皆さん、丹波漆の皆さん

本当にありがとうございました!

世界はひとつ!! 



asakitichi tsutsumi