「Sound of Ikebana 土佐教授による漆の表現」

2018年1月23日

真冬なのになんだかやけに暖かくて気持ちのいい午後。
鴨川を横手に自転車で京都大学に向かいました。

向かった先は土佐尚子教授の研究室

土佐研究室では、芸術とテクノロジーをつなぐ「カルチャラル・コンピューティング」を研究しています。
アートとテクノロジーをつなぐとはどんな研究なのか??

着いた研究室はビニールのカーテンで仕切られ、先生や学生さんたちはツナギに靴カバーと厳重な様子。
さてさて何がはじまるのかとドキドキしてその瞬間を待ちます。

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漆が使われるはずもない研究室で横倒しのスピーカーの上に出された漆の黒と赤

「始めます」の合図とともに重低音が響き漆が宙を舞いました!

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その間わずか4秒ほどでしょうか?

意志を持った生き物のように飛び上がりそれぞれが混ざっていきます。

ふだん漆屋である私たちが目にする漆はいつも液体
液体の時は艶やかな漆も固まると艶有や艶消しなど様々な艶の塗膜に姿を変えます。
水分を少し含んだまま固まる漆の塗膜はその独特の艶やかさを持ちますが液体の時のなまめかしさもまた特別です。
それぞれの塗膜が美しいと思いますが、液体の漆も美しいなと日々の精製作業の時に感じています。

液体の時のなまめかしい艶
わずかな時間で変化する生漆の色目
混じり合う色漆

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私のカメラではその一瞬をとらえるだけでしたが、土佐教授の得意とするアート作品に「サウンドオブ生け花」というものがあります。
これは「大きなスピーカーの上に液体を置き、音波振動で液体が飛び跳ねる様子をハイスピードカメラで撮影する」というものです。
今回撮影させて頂いたのは漆による「サウンドオブ生花」の実験。
土佐教授の高速カメラによる動画作品はまるで生きているように液体が伸びあがり姿を変えていきます。

NYタイムズスクエア―での作品です。
これはポスカ―などを使用し漆でありませんがとても感動しました。

今回は漆を使っての新たな表現にチャレンジされています。
漆の液体としての美しさを見て頂けるのでは!

漆による作品がどんな形で表現されていくのか楽しみでしかたありません。

土佐尚子教授の略歴はこちら
http://www.tosa.media.kyoto-u.ac.jp/index.j.html

 

asakitichi tsutsumi